BBS新潟

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「蜘蛛の糸」

ある日のことでございます。
おしゃか様は極楽の蓮池のふちを、ひとりでぶらぶらお歩きになっていらっしゃいました。
池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色(こんじき)のずいからは、なんともいえないよいにおいが、絶え間なくあたりへあふれております。
極楽はちょうど朝なのでございましょう。

やがておしゃか様はその池のふちにおたたずみになって、水の面(おも)をおおっている蓮の葉の間から、ふと下のようすをごらんになりました。
この極楽の蓮池の下は、ちょうど地獄の底にあたっておりますから、水晶のような水をすきとおして、三途の河や針の山の景色がちょうどのぞきめがねを見るように、はっきりと見えるのでございます。

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